2017年10月13日金曜日

『こぎん刺しの仕事展』




もう道内では平地でも初雪のところもあったようで
秋は深まり 終わりに近付いているようです。


teto²は秋の企画展『秋の匂い 秋の光』開催中です。

実はお二人の参加作家さんの作品が並べてある奥の間には
もう一つコーナーがございまして こぎん刺し作品が並べてあります。



今現在 teto²ではお二方のこぎん刺し作家と
おつきあいしていただいております。

稚内在住のpetit coudre さんと 仙台在住のunemiさん。




こぎん刺しとは津軽地方に古くから伝わる刺し子の一つ。
貧しい農村の農婦たちが 
麻の野良着(野良着のことをこぎんと呼んでいたそう)では寒いので
木綿の糸が手に入るとそれを野良着に刺し
布地を分厚くすることで寒さをしのいだことから生まれたと言われています。

ただ刺すのでは面白くない。
そこは女子です。
自分達の暮らしの周りのいろいろなものからモチーフを見つけ
それを モドコ(こぎん刺しの模様のデザインの総称)にして
楽しんでいたようです。




例えばこちらのモドコは
猫の足 と猫のマナグ(眼)

暮らしに寄り添う
生きものたちへの
かわいらしいまなざしを
感じるモドコ







装飾性が増したこぎんは
きっと娯楽が少ない貧しい農村の暮らしの中で
農婦たちのお洒落にもなったであろうし
日々の農作業とは違った 楽しく細やかな作業をする時間は
彼女たちの息抜きの時間となったのでしょうね。


モドコの種類は300種類以上あるそうです。
現在は オリジナルのモドコを考えて刺されている方もいらっしゃいます。





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teto²とお付き合いくださっているお二人のこぎんは
同じこぎん刺しでも それぞれの個性がとても出ています。




petit coudre さんは こぎん刺し作品の
スタンダードと言ってもいい作風
 
コングレスという木綿100%の平織りの布を使用し
モドコを総刺しにしたものや部分に刺した物を
いろいろな生活雑貨に仕立て作品つくりをなさっています。



スタンダードと言っても刺す人のセンスや作る作品次第で
民芸風になったり 北欧風にも見えたり・・・
petit coudre さんは ネットで拝見してお声かけをした
3年前の こぎんほぼ初心者の時からセンスが抜群。
軽やかで北欧の香りのするポットマットやカフェマット等を作られます。





「きれいなものだから日常使いには敷居が高いわ~」という
こぎん使い初心者の方には
『まずお使いになってみてください。
日常に少しお洒落な雰囲気の雑貨があるだけで
気分が上がりますよ♪』とお勧めしています。





ポットマットは中にキルト芯が挟んであり
鍋つかみにも使えますよ。

カフェマットはテーブルセンターにしてもよいですね♪





他には使いやすい大きめのがま口や 










    ヘアゴムやストールピンなど
   乙女心をくすぐる小物もたくさん♡









先日のワークショップでは先生もしてくださって
その際は「チャリティー作品にしてください」と
カラフルなピンクッションを
たっくさん納品してくださいました。





お声をおかけしたことがきっかけで
今ではすっかりこぎん刺し作家さんに。

現在teto²に置いてあるこぎん刺しの本にも作品が載ってらっしゃいますよ。



針を持たない日がない というくらい
こぎんを刺すことが日常になったとおっしゃるpetit coudre さん。
本業のお仕事がどんなにお忙しくとも
時間を見つけて刺しているそう。

日常の手仕事になっているのですね。









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仙台在住のunemiさんは
作品として使う糸や刺す布地に独特のこだわりがある作家さんです。
作られる作品は 使うこと 身に付けることを前提としていているので
何年使っても撚れない素材を使ったり
肌に触れた時の感触や重さまで考えられています。
 
 
 




こちらteto²とお付き合いはじまった時からの
人気作品の手ぬぐい
(キッチンクロスやハンカチ・スカーフとしても)

2本取りの双糸織りのリネンに刺されています。
2年使ったサンプルも送ってくださっていて
その肌触りはフワフワ~♡
ぜんぜん撚れたりしてないことがわかります。








この細かい目のリネンに
こぎんを刺されるのですから・・・
こぎん刺しをやられたことのある方がいらっしゃると
「え~!?すごいですね。。。」とため息をつかれます。
「よく目が追えますね~どうやって刺してるんだろ…」と
ブツブツつぶやいている方もいらっしゃいます。笑







白地に白糸で刺されたりするのですから・・・
びっくりです。

そしてそれだけ難しい細かさですが
こだわって刺したハンカチは清楚で美しい。



糸の太さが均一な布地に刺すのなら布地の目を追うのは
慣れてくれば簡単な気もしますが
unemiさんの作られる作品には
こんなウールの織り布にこぎんを刺したものもあります。
 
これも慣れれば目で追えるようになるのでしょうか…?
ものすごい集中力だと思います。






そしてこの作品も素材にこだわりが。
オーガニックコットンを使ったり 
染め色も天然のものを選んだり
首に巻いた時のその柔らかさが抜群です!
チクチクしない感触
触ってみるとわかりますよ♪
ぜひ首に巻いてみてください。



そして長さがちょっと短いんじゃない?と思われますが
この長さだと首が重たくないのです。
寒い北海道 長めのマフラーでぐるぐる首を巻きたくなりますが
unemiさんの巻物は短いけれど
ふんわりと首周りの空気をためてくれる感じ。
かえって暖かいのではないでしょうか?

photo by unemi





unemiさんはもともと子供服のパタンナーでもあった方。
なので今年の春の企画展では素敵なブラウスも仕立てて
出展してくださいました。
小さなこぎんもワンポイントで入ってました。
 
その着やすさ 着た時のシルエット
そしてリネンの風合いがシャリシャリと肌に心地よく
デザインからすべて起こした仕立てブラウスは
その価値がわかる方には決してお高くない価格。
わたくしも一つお嫁入りしていただき 
ヘビロテで着まわしております。



こぎん刺し作家と言ってもunemiさんの場合は
これまでの経歴も生かされた
こぎんそのものだけでなく刺す布地にまでこだわった
他の方には真似のできない 
オリジナル性の高い作品作りをなさっているのです。




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素材や細部へのこだわりによってこんなにも違うこぎん刺し。

すばらしいお二方の手仕事をじっくり紹介するだけで
「こぎん刺しの仕事展」と言うにふさわしいコーナーになっていますよ。

お二人とも作品に付けられたタグにモドコの名前が書かれています。
ぜひそんなところも御覧になってくださいね。


ぜひいらして お手に取ってじっくりご覧ください。