2020年10月12日月曜日

『アイヌの響き』 始まりました ①

 

一昨日雪虫がたくさん飛んでいたと お越しくださったお客様から聞きました。

もうそんな季節なのですね~。

2週間ほどで初雪の便りが聞けるのでしょう。


今年は夏が変に長かったので 調子が狂ってしまいます。

とは言え 季節はめぐり 時間は刻々と過ぎていくもので

teto2も残すところあと10日間となりました。


今年ラストの企画展 

晩秋の小さな展覧会 『アイヌの響き』

10日(土)から始まりました。



本日はこの企画展の成り立ちを

参加作家さんの経歴などをご紹介する前に 少ーしお話しますね。。。

(今回長くなりますのでお時間ある方のみお付き合いください 😅)




アイヌ刺繍を長年やられている山北ユカコさんの個展を

長沼町の"あまりや”さんで拝見したのがもう二~三年前のこと。


それまでアイヌ刺繍はいろいろなところで拝見していたものの

ユカコさんの刺繍はほんの少し印象が違って 

刺繍の線が活きていて

いっぺんで「この方の刺繍は好きだな~♬」とフアンになりました。


ユカコさんの刺繍は とても楽しそうで 

本当にアイヌ刺繍が好きなんだな。。。と伝わるものがあります。

きちっとした カチッと線対称の刺繍も素晴らしいのですが

ユカコさんの刺す線は なんというか自由で

複製のものであっても 

まるで当時アイヌの女性たちが刺していた気持ちまで再現されているかのような

見ているとワクワクするような作品なのです。



ユカコさんの先生である加藤シヅエさんという方が 

今どきの便利な手芸道具などなかった時代の 

のびのびしたアイヌ刺繍を教えてくださる方だそうで

そのスピリットをうけついでいるのでしょう。


おそらく何のジャンルも同じでしょうけれど

文化を学ぶ時 

教えてくださる先生の教え方、考え方、人となりに触れ 影響され

まず初歩的な技術を踏襲することから始まります。


そして 次に自分のものとする段階が始まるものですが…

色々お話した際に ユカコさんがおっしゃるには 

「私は自分の刺繍を刺す段階にはまだまだです」とのことでしたが

あまりやさんで拝見した作品たちからは

すでにその人となりや オリジナリテイーがきちんと感じられる作品だな。。。と

感じたのを覚えています。


そしてそれは 今後ますます深まって 

ユカコさんにしか刺せない刺繍が

生まれて行くのだろうな。。。という予感もしたのです。


そこで個展をやっていただけないかと昨年お声をおかけしました。

そして今年の4月にオープンに合わせた春の展示会として企画していたのですが

コロナ禍であえなく開催見送りに。。。。。



そんな中 少し日を前後して 別のところで 

アイヌの方の彫刻や版画に触れる機会がありました。

結城幸司さんの作品です。


昨年の秋に初めて作品を拝見し 

それからずっと気になっていた作家さんでした。

これまでアイヌアートプロジェクトというプロジェクト名は

知ってはいたのですが 作品をじっくり観たりする機会はなく

結城さんが そのプロジェクトの代表であることも最初は知らずにおりました。

https://gramho.com/explore-hashtag/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%8C%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88


ユカコさんの作品展を開催したいと思い始めてから

結城さんの作品のことがどうしても気になって…

ユカコさんの展示会を延期したのをきっかけに

いてもたってもおられず その時ちょうど札幌の南にあるほっぺた館というところに

作品が展示されているとお聞きし見に行って来ました。



結城さんの作品はご自身の背景であるアイヌの世界が

いまを生きている結城幸司という人間(アイヌ)のフイルターを通して

生き生きと表現されている作品です。

そこには必ず物語があって 

アイヌの世界で語り継がれてきたユカラ(叙事詩)のような物語もあれば

今現在 結城さんの中で紡がれている物語もあるのです。


結城さんの版画や彫刻の世界は 深い森のようにどこまでも懐が深く

そして決して甘く優しいだけでなく

自然界の厳しさや 人間界の複雑な現実も混ざりあった土壌がベースにあって

そこにアイヌの文化の中でも そこかしこに感じる

おかしみ ユーモアなどが織り込まれています。

ときに可愛らしく ときにどこか懐かしく感じる雰囲気が漂う作品たちです。





それは結城さんご自身が生まれ育つ中で感じてきた様々な思いや

今を生きるアイヌとして感じられているいろいろな感情が

ないまぜになって生まれているのだと想像できます。


そして どの作品も 根底に流れるのは 

深いアイヌ文化へのリスペクトであり

どの作品からも

この北海道の大地で共に生きる和人である我々へ向けた

アートを通したまっすぐなメッセージを感じるのです。



そんな素晴らしい作品たちを拝見した後、

やはり結城さんも一緒に作品展に参加していただこう!と思いたち

ユカコさんにご相談。

ユカコさんからすると以前から尊敬する方だったので

びっくりしつつも「光栄です」と快諾してくださったので

結城さんにもお声をかけました。


結城さんもお話を受けてくださったので

ユカコさんと二人で結城さんに詳しい打ち合わせをお願いしに

会いに行ったのが8月のこと。


そこで ユカコさんがこれまた素敵な申し出を結城さんになさいました。


「数年前にネットで結城さんが太鼓の皮に書かれた図柄を拝見しました。

その文様をぜひ刺繍させてほしいのです」


ユカコさんがその太鼓の写真をネットから転写してお見せしたところ・・・

最初結城さんは「これ僕が描いたんじゃありませんね~」

「え??」とユカコさんも私も一瞬唖然。

あら違う人だったのか~。。。それは残念と二人で意気消沈したかと思ったら

そのすぐあとで 「いや!やっぱりこれおれが描いたんだ。。。笑」


思わずずっこけた私達。😁


その後「もちろんいいですよ」と刺繍することを了承くださったのでした。

*その刺繍ももちろん今回の展示にございますよ


そんな おちゃめなところがある結城さんも

一緒に作品展をやっていただけることになり

この企画展がだんだん骨太になっていったのです。



そして またその頃

そこにもうお一方 私にとってはこの企画展に参加してほしい

気になる方の存在がありました。



teto2の隣町長沼町には

トンコリという樺太アイヌの5弦の楽器を作って

演奏している作家さんがいらっしゃいます。 

今現在はトンコリの製作者でもあり奏者でもある

二宮規一さんです。


二宮さんとはずっと以前からの知り合いで

奥様のやってらっしゃるお店カントリーバーンさんは

テトテトのご近所店として大変お世話になっているお店です。



そのカントリーバーンでは 以前は二宮さんの作られた家具を展示し

奥様がその家具に合う素敵な雑貨を販売しているお店でした。

数年前に二宮さんが家具作家をやめてトンコリ作家に転身したので

今は家具は販売してないのですが 

奥様の素敵なチョイスの雑貨は変わらず販売しており、

そしてその横には 

現在 トンコリ工房inonnoー祈り-があるのです。

https://inonno.net/


余談ですが・・・

その二宮さん トンコリ作家に転身後 

わたくしの連れ合いの関わるレコードレーベルからデビューした

由仁町のヒップホップアーテイストJOKEMICのかっこいい~~~一曲

にもトンコリで参加しているのです。

リンクを張っておきますのでぜひぜひ!お聞きくださいね

画像も見てください!

そして このCDは teto2 でも販売しておりますよ~♬

https://www.youtube.com/watch?v=S9XPdgdVbWE&feature=youtu.be


と、夫婦共々お世話になっている この二宮さんのトンコリの音が

とにかく私は大好きだったので 

今回の企画展のオープニングにライブをやっていただきたいと

ひらめき お願いしに上がりました。


急な話だったにもかかわらず 

二宮さんもライブをしてくださると了承くださり

しかも素敵な友人とセッションをしてくださるとのこと。

そして企画展の最中には大事なトンコリの展示もしてくださることに。


色々強引なわたしのお誘いにしっかり乗ってくださり

なんとも素敵な展示が始まることになったのでした。




続く記事では 

それぞれの作家さんの経歴などをご紹介していきますね~♪

お楽しみに