2020年10月23日金曜日

『アイヌの響き』  残すところ3日間です

 

一雨ごとに寒くなるこの季節

今年はなんだか秋から冬への切り替えに 例年の勢いのがない気がします。

こんな時期まで家庭菜園の夏野菜がなってまだ食べれることにびっくり。

山の紅葉もきれいじゃないです。



とは言え明日からはぐんと寒くなるので

teto2は夏仕様の店なので 皆様どうぞ暖かい格好でお越しくださいね。




「お越しください」と言えば… 

今年ラストの素敵な展示会『アイヌの響き』 

本日を含めあと3日間で終了です。(さみし~😥)



アイヌ文化から響いてくる響きをどんな形で受け取って

どんなふうに自分の中で熟成させて 

現在 自分の中から世界に響かせているのか?

3名のアーテストの作品

どうぞお見逃しのないよう。



これからの投稿は

残り3日間ではありますが

あらためて3名の作家さんたちの略歴をここに書かせていただきます。


トップバッターは。。。

『アイヌの響き』のオープニングライブで

すばらしい演奏を聞かせてくださました

トンコリ作家 &トンコリ奏者

二宮規一氏 です。



サラリーマンから転身 独学で家具を学び

長沼の丘の上で奥様と店*を構え暮らしていた二宮さん。

*カントリーバーン


そこにふらりと現れた

樺太アイヌの楽器の「トンコリ」奏者でありロックミュージシャンの方が 

「どんな楽器をやられるのですか?」 という二宮さんの問に

テラスで爪弾いて聞かせてくれた トンコリの音色。


二宮さんはその音色を聞いた途端 トンコリの魅力に取りつかれ

数日寝られないほどの興奮を覚えたといいます。


それからは家具の仕事で身を立てながらも 

ライフワークとしてトンコリを作り続けてきました。


アイヌでもない自分がアイヌの楽器を作ってもいいのか?という

自らに問いかけをしつつも 

アイヌの世界からの響きに 共鳴するかのように

トンコリの魅力にどんどん惹き込まれていきます。


そして3年ほど前に

トンコリ1本でやっていこうと決めてからは

家具作家としての仕事は一切辞め 

その後はトンコリを作ることや演奏することで暮らしてらっしゃいます。


不思議なもので

アイヌの世界に入っていくことが 中途半端にはできないと思いつつも

家具作家でありながらトンコリを作っていた時は


オーソドックスな本来のトンコリのかたちを模して作ることができなくて

もっと複雑なかたちのトンコリを作り続けていたといいます。

またそのときはいろいろな意見をいただき

中には決して応援するだけでない意見もあったと言います。


でも

トンコリで生きていこうと決めてからは 

逆に変わったかたちのトンコリは一切手がけなくなり

二宮さんのトンコリに関して意見するような雑音は全く聞かれなくなり

不思議とその仕事できちんと食べていけるだけの仕事が入ってきて

応援してくれる方ばかりになったといいます。


ご自身も

「不思議なんだよね。。。トンコリに関して こうしたいと願うと

なにか見えない力が導いてくれるように できるようになるんだよ」

とおっしゃっていました。


例えばこんなエピソードがあったそう。。。

昔の樺太アイヌ人々は

トンコリの弦に 鹿のアキレス腱を使っていたということで

自分もその音を再現したいと強く思ったら・・・


鹿のアキレス腱を手に入れたという方がいて持ってきてくれたといいます。





今度はそれは細く割いてみたのはいいものの 鹿のアキレス腱は

弦の長さには全然足りない短いものです。

どうやって糸のように撚って長い弦を作るのか?

その方法が知りたいと思っていたら・・・


神社のしめ縄を撚ることをしている人が教えてくださったそうです。

(その撚り方は普通の糸撚りとは逆のものだそうで 神事に関するものは逆撚りなのだそう)



そうしてできた弦を張り 弾いてくださったトンコリの音色は

また他のものよりずっと低音で (ギターのように張った音色では決してないけれど)

ウッドベースのようなお腹に響いてくる不思議な魅力がある音でした。

(お聞かせくださった時はアンプに繋いで音を増幅してくださいました)


今では北海道でも

トンコリを作って 自分で演奏なさる方は ほぼいらっしゃらないそうです。


この不思議な楽器の響きに惹き込まれた二宮さんと以前お話していて


『アイヌの世界に入っていくことは生半可ではできないことだけど

私はいろいろな方とお会いして 色々腹を割って話を重ねてきたので

アイヌの文化を自分のものとしていく覚悟が

いつの間にか自分の中にできて

腑に落ちた瞬間から 

もう何を言われても悩むこともないし なんとも思わないのです。』



優しく穏やかなその口調の中にも

揺るがないアイヌとの自分の向き合い方や

長年極めてきた技術への自信が満ちていて 


私には その言葉を聞いた時に 

以前お聞きした 鹿のアキレス腱で弦が出来上がった時の話を思い出し

「ああ、この人は樺太アイヌのカムイ達にも選ばれたんだろうな。。。」と

思えたのです。


アイヌ文化をしっかりと受け止めて

昔から響いてくるその音色を

自分で響かせたいと トンコリを作り続ける二宮さんのトンコリ。

今回の展示では2本のトンコリをお借りして展示してございます。

1本はこの投稿でご紹介した 鹿のアキレス腱の張ってあるものです。

ギターを弾かれたことのある方なら 試しに鳴らしてみることもできますので

ぜひ店主までお声掛けください。


そして興味を持たれた方には ぜひ二宮さんのトコンコリ工房

inonno(祈り)に行かれてみてくださいね。

inonno

参考サイト:https://mymaoi.com/feature/inonno/

 

そして!すでに定員は締め切ってしまいましたが

なんと25日の結城幸司さんの創作ユカラの会に

二宮さんがトンコリで飛び入り参加なさってくださることに!!!



夢のコラボ


ご予約なさった方はお楽しみに~♪






次は・・・

アイヌ刺繍作家

山北ユカコさんのご紹介へと続きます♪