さて、なんと あっという間に最終日です。
この企画展ほど 色んな所に響いていく結果となった展示は
なかったのでは? とずっと興奮したままの店主です。
『アイヌの響き』というタイトルは結城さんがくださったものでした。
アイヌ刺繍の山北ユカコさんと一緒に 結城さんとの打ち合わせに行って
初めてしっかりとお会いした時に
私が「アイヌの声」というタイトル案を口にした時
結城さんが間髪入れず「声じゃないな・・・『響き』ですね」と
おっしゃったのを今でも鮮明に覚えています。
思えばあの時にこの企画展がどんなものになるのかが
すでに決まっていたのかもしれません。
結城さんから送られてきた
ご自身のプロフイールを簡単にここに書かせていただくと。。。
結城幸司
1964年釧路生まれ
創作集団 アイヌアートプロジェクト 代表
版画を中心に木彫、現代創作ユカラ制作や語り部もする。
アイヌ(人間)の見つめる世界に
自然からの恵みと感謝が響き合う本来の姿をと
創作活動している
ここでも「響き」という言葉が使われていますね。
結城さんが投げかけてくださった「響き」という言葉のおかげで
まさに色々なイメージが響き合い
始まる前から
企画展がどんどん何層にも味わえる面白いものとなっていきました。
そして始まってみれば。。。
いろいろなご縁が会場で繋がったり深まったりするのを目の当たりにしました。
それは すべて アイヌ文化へのあこがれやリスペクトから派生した
ご縁と言っても過言でないと思います。
結城さんは以前インタビューで
「アイヌだから 和人だから・・・」と言う前に
この恵みの大地である北海道という土地に同じく暮らす者同士として
共に もっと北海道独自の文化をしっかり築いて行ってもいいのではないか?
それには自然を敬い礼節を持って対峙してきたアイヌの文化は
欠かすことはできないはず。
何世代にも渡って同じ自然を相手に暮らしてきた日本人だって
アイヌが大事にしてきたもの見てきたのだから 理解できないはずはない。
お互いへの敬意が生まれてこそ初めて開放と言えるのではないか。
とおっしゃっていました。
見ている世界が圧倒的に俯瞰です。
歴史や現在も残る差別に目を向けてしまうと
人間同士のことしか見えてこない。
でも結城さんの言葉から
もっと目線を広げて大きな自然の中で見つめる関係性で考えると
未来が見えてくる気がします。
そしてその自然の目線とは
アイヌが語り継いできたユカラ(物語)の中に
生きている視線であり
結城さんの版画作品や立体作品のそこかしこに宿っている
魂のようなものなのだと思うのです。
わたしは
和人である自分が アイヌ文化を中途半端に味わったり
歴史を学びもしないでアイヌ文化を消費するように味わうのは
失礼なんじゃないか?と思うあまりに
実はアイヌ文化から響いてきていたアイヌの本質的な魅力や生き方を
全然理解しようとしていなかったのだな。。。と 思います。
響いてくるものに素直に耳を傾け
この地にたかだか20年でも
自然を愛しながら暮らしている自分ももっと信用してあげよう。
きっとアイヌの響きを受け取れる素地が育ってきているはずで
そして自分の中で響いたものが
次の世代や周りの土地の人々へ
今のアイヌと日本人が共に紡ぐ物語として
形になっていくんだって思えてきました。
結城さんとの出会いに本当に感謝しています。
そしてこの企画展のきっかけをくださった山北ユカコさん
そこにさらに深みを加えてくださった二宮さんにも
本当に感謝です。
もとい!感謝を述べるにはまだ早い!
本日結城さんの創作ユカラの会があり 二宮さんも参加してくださいます。
先日のユカコさんの着物を結城さんが着た時のような衝撃が
もしかしたらユカラの会でも起こるかも!!!
予約はすでにいっぱいなので 参加なさる方 楽しみましょう❤
ユカラの会の関係で 展示の方は3時までとなります。
残り3時間ですね。
これははじめの1歩だと思っておりますし
次回も もちろん企画いたしますが
ぜひぜひ記念すべきこの初回『アイヌの響き』に足を運びくださり
作品のそこかしこで聞こえる物語にも耳をかたむけてみてください。
ラストに結城さんの版画作品を一つご紹介
こちらの版画は初期のもので、
40分ほどで一気に彫り上げたものだそう。
タイトルは「カムイ イピリマ(リは小さいリ)」
日本語訳は「神々のささやき」
イピリマにはアイヌが森の中などを歩いている時に
「気をつけなさいよ」とか「そっちは危ない」といった
囁きのようなものを聴くことがあったそうで
警告といった意味があるそうです。
40分という短い間に何かが降りてきて
彫らされたような感覚すらあった作品なのだそう。
人間たちへ森の神々が警告しているのかもしれませんね。
いろいろな動物が隠れていますよ。
探せますか~?